私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「RENT レント」

2006-06-11 19:37:01 | 映画(ら・わ行)


2005年度作品。アメリカ映画。
ピュリッツァー賞を受賞したブロードウェイ・ミュージカルを映画化。ロックベースの音楽に乗せて、1989-1990年にかけてのニューヨークの若者の姿を描く。
監督は「ハリー・ポッター」シリーズのクリス・コロンバス。
出演はロザリオ・ドーソン、テイ・ディグス ら。


映画の冒頭を見たとき、これは傑作になるのではないか、という予感に駈られた。
まず映画のオープニングで、525,600分をあなたはどう数えるか、という歌が流れるのだが、この歌のテーマ性に途端にノックアウトされ、そこから続くレントの歌の華やかさに、心を奪われてしまったからだ。

実際、この映画の中に流れる音楽にはすばらしいものがある。
ときにエモーショナル、ときにノリノリで流れてくるそれらの歌たちは僕の心にむちゃくちゃ響いて、胸の中が湧き立つのを感じた。とにかく劇中に流れる音楽の耳に心地よいことと言ったら、この上ないものがある。
一番圧巻だったのはバーのシーンだろう。その中に流れるテーマ性、全体を包む音楽の雰囲気、そして映像の華やかさは圧倒的である。あれがこの映画の最大の山場と言っていいと思う。

だがストーリーに目を向けるとこの映画は退屈なものでしかなかった。
一応、本作では若者の夢、同性愛、ドラッグ、エイズ他いろいろな問題を盛り込み、青春群像劇に仕立てようとしているのだけど、はっきり言って焦点が散漫になってしまったような気がする。今を生きる、というテーマ性はともかくも、ストーリー的に何を訴えたいのかが、よくわからなくて、盛り上がりに欠けていた。
エンジェルをはじめ、キャラの立っているのが結構多かったので、もったいないというほかない。

個人的な結論で言うと、本作はミュージカルとして見れば大成功だけど、映画として見れば失敗、といった印象である。映画はプロットと思っている僕としては、不満の残る内容だった。

評価:★★★(満点は★★★★★)

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